介護用品の志水商会blog

介護用品屋さんの日々思ったことを書いてみたりします。商品の説明もたまにします。

拘束について思うこと

当店で取り扱っている商品のうち、

身体拘束に当たる製品があります。

 

「そんなものを売るなんてサイテー」(意訳)

 

というメールが送られてきたので、返信してみました。

勿論個人情報は削除してあります。

読みやすく改行を増やし、少しだけ加筆しました。

この度は「介護用品の志水商会」にメールいただき
どうもありがとうございます。

私は担当で福祉用具専門相談員の山田と申します。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

 


「これらの衣類」、というのはボディスーツやつなぎのねまきのことでしょうか。

もし違っていたら大変申し訳ございません。

 

とりあえず、こうした商品のこととしてお話しさせていただきますね。
ちょっと長いですが、お付き合いください。

 

おむつ外しの予防関連の製品は、厚労省より通達の通り
身体抑制・身体拘束にあたります。

当店の場合、販売先は大まかに分けると病院・高齢者施設・その他に分かれます。

 

<病院の場合>
治療を優先します。病院は生活施設ではないからです。
カテーテルを抜いたり、おむつを外されては治療に差し障る、という考え方です。

 

<高齢者施設の場合>
おむつ外しの原因や対策のために、何度もケース会議を開き、あらゆる角度から
検討したのちに、この製品を選択することになります。
その場合には、たいていご家族の承認が必要です。
社会福祉法人の場合、県監査での指導があります)

 

いくつもの過程や手順を経て、こうした製品を使用することになります。

 

誰しも外聞の悪い「身体拘束」の製品を軽々しく使いたい人はいないのです。
「介護技術が低い」と、

ご家族に思われることを恥じることこそあれ、

喜ぶ施設もありません。

 


<その他>
自分で使うために購入される場合もあります。
下半身に麻痺がある場合です。
「就寝中に自分でおむつを外してしまうので困る」

という方は意外と多いようです。

いずれにしても、これまで販売していて、通常の家庭で使用することはほとんど無いように思えます。

 


こうした製品は「身体拘束」と言われて、介護の悪者扱いですが
「つなぎのねまき」などは、私が中学生の頃は、

読売新聞の家庭欄に

 

認知症のお年寄りを介護する家族が開発した、すばらしい発明品」

 

であると、
何度か紹介されてたように記憶しています。


そのほかの製品も皆そうですが、開発されたときは、

カテーテルを抜かないで」

車いすから落ちて骨折するのを防ぎたい」
「服を脱がないでほしい」

「弄便するのを防ぎたい」


といった介護や医療の現場における、認知症患者への
「身体の安全・衛生の確保」という切実な気持ちと情から、
開発されているのであって、時代の変化とともに、
世間と介護者の商品への解釈と使用方法(※注)が変更されて
悪者扱いされるようになった、というだけではないかと思います。

 

※使用方法
この場合は、介護者の利便を優先しすぎて、
「つなぎのねまき」等の拘束系製品を安易に利用することを指しています。
そういう時代もありました。


現状では、どのおむつ外しにも有効な介護技術が存在しない以上
最後の砦のような形で使われているというのが私の認識です。

 

必要があるから開発される道具に罪はないのであって、

使う人の考え方ひとつで

評価が変わるだけです。

 

介護方法にも、使用する道具にも、流行り廃れがあるのです。

 


また当店のキャッチフレーズ「便利な道具でもっと楽!しよう」ですが
トップページの下の方に、ちょっとした理念的な文章があります。

 

「できるを応援する」という言葉です。

 

道具があれば、ゆっくりやれば自分で出来るのに、

ともすると、身の回りすべてを先回りして
素早くやってあげることが「良い介護」だと長年思われてきました。

 

私は、そうした「気の利いた・丁寧な」介護のために、

むしろ自信を無くしている高齢者を
大勢見てきました。

 

だから、「道具があれば自分でできること」を応援したいと思っています。

 

また、介護者の方にも言いたい気持ちがあります。

高齢者に「自分で出来ることは道具を使ってやってもらう」ことや
安全を確保するために様々な道具を使うことは

 

「介護の手抜き」で

「温かみの無い介護」


になるのでしょうか。

私はそんなことはないと思います。

 

人海戦術で対応することばかり考えて、

便利な道具を新しい介護技術に加えていかないのは
なぜでしょう?

 

介護者はあまりにも介護用品について関心がなさすぎると思うのです。

 

便利な道具で皆が楽をすることに何の問題があるのでしょうか。
特に介護者は自分の体をもっといたわって欲しい。

 

私は道具を使って楽をすることは皆を幸せにすると思います。

長文をお読みいただきどうもありがとうございました。

有限会社志水商会
福祉用具専門相談員山田由紀子
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